株式会社一燈 エンジニアブログ

秋葉原のWebエンジニア集団、株式会社 一燈のブログです。PHPやjavascriptに関するTipsや活動報告を掲載しています。

こんすけが斬る! 其の九

▼IT業界の利点の一つとして、役割は確かに枝葉のように分化されているが、専門分野が業者や職種というレベルで分化していないため、その気があればすべての役割を経験できることにある。

▼建築では、施工管理、大工、設備、材料、設計、構造、不動産……それぞれ別々の企業が集まり、より細分化、専門化している。それらすべてを内包する企業はなく、かならず外注をしなければならない。しかしITは自社内でそれを完結できる。もちろん、コーダー、プログラマー、デザイナー……下流においては専門化されているので、ここだけは自分の技量や努力が必要なのは大前提だ。IT業界は、自分の総合力をあげるという点においては、かなり都合のいい業界だろう。

▼さらには、ITという性質上、どの業界とも親和性が高い。いまやアナログですべての管理を行っている企業は減少し、どこもIT化が進んでいる。金融や証券、広告、出版、飲食、アパレル、不動産……垣根なく付き合っていかなければならない。上記に挙げた業種は、実際に私が体験した顧客である。システムを作る上で、それぞれの業種のオペレーションや専門用語などを覚えなければならないが、これらはそのままコネクションにつながることがある。多くの業界の声を聞くことができ、そのコネクションを使った転職も実際にあるのだ。その中で、本当にやりたいことが見つかるかもしれない。

▼ITの本質的な部分は、ベンチャーに近いイメージがあると個人的に考えている。新しい技術を使って、新しいものを生み出す。利便性や有用性に価値があり、それは生活の基盤を作り、環境を豊かにする。そのために必要な発想、情報整理、実現力が常に試され、そのため流行り廃りも目に見えて現れる。一年もブランクがあると、すぐについていけなくなってしまうほど、この業界は常に胎動し、外へ外へと押し出されるように顕在化する。つまり、それだけ熱心でマニアックな人間が多いとも表現できるし、実際に外部コミュニティやイベントも数多くある。

▼現実として、本当の意味で革新的、先進的な技術を使って前進している企業はそう多くない。だからといってその最初の一歩に逡巡する理由などにはならないし、もし上記のように向上心や好奇心がなければ、正直足を踏み入れない方がいいかもしれない。

筆者のプロフィール。
こんすけ

1989年(平成元年)、神奈川県生まれ。大学の建築学科を中退後、若干のフリーター生活を経てIT業界へ。IT営業を経たのち、もっと開発に近い現場での経験を求め、同じIT業界で転職。エンジニアではないが、営業経験を生かし、営業と開発の中間でディレクション業務をこなし、IT業界の抱える問題点について日夜研究中。好きなものは牛乳。

こんすけが斬る! 其の八

▼究極的な意味で、管理とは制御であり、同時に保守的で、かつ非常に攻撃的な側面を持つ。管理する、ということは、例えば家畜を決められた敷地から出ないように、あるいは出さないように檻を作ることに似ている。決められた敷地内で家畜が増え、様々な要因からキャパシティオーバと認められた場合、家畜を別の敷地へと移動させるか、最悪殺処分も検討し、決定すれば無慈悲に実行しなければならない。

▼閑話だが、技術者がただのプログラマとして一生を終えることはあまりない。早ければ20代、多くが30代・40代で徐々に実装やテスト、導入などの具体的にソフトウェアを構築・配備する、いわゆる「下流」と呼ばれる工程から脱却し、ソフトウェアの要件定義・設計・分析を行う「上流」へとキャリアを進める。

▼ものづくりは、何も実際に自分の手を動かして材料や部品を組み合わせて実物を作るだけではない。実物を作るために、アイディアを元に想像し、想像を実現させるために情報を集め、想像を現実のものとして実現できるか検討し、判断を下すこともまた、ものづくりだ。むしろ、それこそものづくりの本質に近い部分だろうと思う。

▼作るものが巨大化すればするほど、動員する工程も人間も増え、複雑化する。複雑化すれば役割が増え、何もないところから想像して書き起こす「maker」側と、ただ言われたことを実行して手を動かす「worker」側がはっきりとした境界線で区切られてしまう。IT業界はそれが顕著である。それほど難しいのだ。

▼複雑化したものは、それぞれをばらして綺麗に整備しなければならない。複雑化し、役割が増えるということは、役割ごとの段階で管理が必要になる。そして、その役割ごとの間には、コミュニケーションが必ず発生する。さらには下流から上流に向けて、徐々にステップアップすればするほど、その下に位置する役割への影響が比例して大きくなるため、幅広くより難易度の高い管理が求められる。なので、プログラマやテスタからキャリアを始める人も、管理をする、ということを常に意識した方がいいだろう。

▼自分は言われたことをやっていればいい……プログラマなら、まずは実装のレベルを上げることが第一である。最初こそそれでもいいが、少しずつ管理にも意識をしてほしく思う。まずは自己管理からでもいい。管理能力は、意識し、欠点を見つけ、いらないものをそぎ落とし、徐々に身軽にしていく工程で伸びる力であるのだ。一朝一夕でマスタできるものではなく、経験則からの連想や、削ぎ落とす過程で得た知識が重要となる場合がほとんどなのだ。

筆者のプロフィール。
こんすけ

1989年(平成元年)、神奈川県生まれ。大学の建築学科を中退後、若干のフリーター生活を経てIT業界へ。IT営業を経たのち、もっと開発に近い現場での経験を求め、同じIT業界で転職。エンジニアではないが、営業経験を生かし、営業と開発の中間でディレクション業務をこなし、IT業界の抱える問題点について日夜研究中。好きなものは牛乳。

こんすけが斬る! 其の七

▼宇宙の外側を想像したことはあるだろうか。より正鵠を射るなら、宇宙の外側を想像してみようとしたことはあるだろうか。そのとき、あなたの頭に何が浮かんだろう。ちなみに、私の頭の中には何も浮かばなかった。いや、浮かんではくるが、それは「宇宙の外」という常識外に対して酷く稚拙な三次元的空間……つまり、私達が生きているこの世界に則った法則でしか想像できなかった。実際には、宇宙の外側は三次元ではないと言われている。

▼我々の「脳」が三次元的である限り、それ以上の次元を考えることはできても、想像することはできないらしい——そんな記事を昔、読んだことがある。四次元、五次元というのは数学的に珍しくなくグラフや数式で表すことは容易だ。だが、それをビルの模型を作るみたいに、形としてくみ上げることはできず、想像することすらできないのだ。

▼知識がない、という状態はそれに近しい。知識がないものを想像するのは無理な話だ。コミュニケーションや管理する際には、当然知識も必要だ。別業界からの転職ということであれば、知識レベルは乏しいだろう。

▼前回に関連して、システムというものは特に知識がないのとあるのとでは、コミュニケションレベルが段違いだ。普段の常識が一切通用しない、それこそ宇宙の外側のように、別世界に等しい。システムはコンピューターという別の法則で動いているからだ。

▼とにもかくにも、私は何をする上でも、この業界に初めてやってきたのなら、まずはシステムの理解を深めるべきだ。コミュニケーションや管理というものは、その上で初めて成り立つ。これからエンジニアではなく、管理の方面に回りたいというのであれば特に必須である。

▼これはIT業界で非常によくある話で、何においても揉めやすく、いわゆる案件の炎上に繋がりやすい問題だが、わかったふりをして案件を進めることや、システムに関して勘違いをして案件を進めてしまい、あとあとになってそれが発覚するケースが多い。

▼コミュニケーション不足については次回以降に話すとして、知識がないということは大きなハンディキャップで、それはそのまま自信にも直結する。私もIT営業として働いていた時代、実に苦しかった。なんとなく想像をする、ということすら初めは難しく、それはそのまま堂々として話したり、提案など、自ら話を盛り上げていく立場を作れないというのは歯がゆいもので、人によってはさらに自信や意欲を喪失していってしまう。

▼ここで効率よい情報の集め方と整理方法を知ると、そのことが後に大きくプラスになっていく。そういう面でも、ここはよい土壌であるといえるだろう。

筆者のプロフィール。
こんすけ

1989年(平成元年)、神奈川県生まれ。大学の建築学科を中退後、若干のフリーター生活を経てIT業界へ。IT営業を経たのち、もっと開発に近い現場での経験を求め、同じIT業界で転職。エンジニアではないが、営業経験を生かし、営業と開発の中間でディレクション業務をこなし、IT業界の抱える問題点について日夜研究中。好きなものは牛乳。

12月帰社日

どうもこんにちは。営業事務兼コーディング(学習中)hirayama1です。 11月の帰社日が出張版ということで、月末の帰社日だったんですよね。 そして12月の帰社日が月初めなので、年末は帰社日ラッシュな感じです。

さて、本日の帰社日は盛りだくさんです。

  • 9:30~10:00 朝礼
  • 10:00~10:45 ゴミ拾い
  • 11:00~11:45 kコンテンツ〜オブジェクト指向
  • 11:50~12:20 社長コンテンツ
  • 12:30~13:30   昼食
  • 13:30~15:30 morisukeコンテンツ
  • 15:40-15:50 umenokoコンテンツ
  • 17:00~18:00 yutaコンテンツ
  • 17:50~18:10 Motsuコンテンツ

■k社員コンテンツ 

プログラミングの基礎、オブジェクト指向の説明です。

プログラミングをかじると目にするオブジェクト指向、しかし調べてみると複雑そうで敬遠してしう。 そんなオブジェクト思考ですが、今回javaのプログラミングの例と共に、一から説明を聞きましたよ。 一つづつ用語を噛み砕きながらじっくり吸収、消化するのが良さげです…!(一度ではわからなかったよ!)理解すれば楽になるよ!作業効率が上がるよ! という話だったので、しばらく電車の行き帰りで復習しようと思います。

クラスを使う側が安全にそのクラスを使うための機構 とのことなので、javaPHP等、プログラマーは勉強しとくとgooです。

■ morisukeコンテンツ

月刊もりすけ  今月の気になったIT NEWS集ですね。 月刊もりすけと検索技術の豪華2本立てです!

  • Larvel5.6リリースの話
  • Kotlin1.2正式版リリース JavaPHPのいいとこ取りのような言語kotolin これからはやる言語として要注目だそうです。
  • 入門Kotlin coroutines
  • 分散ファイルシステムブロックチェーンの夢を見るか
  • AWSの新サービス群
  • ZOZOSUIT、足の採寸」研究中
  • OracleJDKの全ての機能をOSS

個人的にブロックチェーンの話が気になりますね。来年はブロックチェーン元年として、様々なところにプロックチェーン技術が取り入れられるようになるとか...! それはつまり、ブロックチェーンが使用される度に、副産物として仮想通貨が生まれるという話に聞こえましたよ。これは仮想通貨買い時じゃない?(⭐︎ω⭐︎) と思ってたら12月はじめにビットコイン大幅値上がりで手が出せない価格に… モナコインでも掘れないか...( ´∀`)PCのスペック足りないモナー

■検索技術の話。

一転こちらはエンジニア初心者向けの話です。 これから作っていく初心者にはとても為になりました。(’・ω・)_φメモメモ 一部だけ紹介すると、 情報の集まるところを知れ、とのことで

  • qiita(日本語サイト) 投稿者の評価機能が存在しないため、情報の質としては玉石混合 記事が誤りでコメントが正解というパターンが多いので、ページは気を抜かず最後まで読む。 いいねが多かったら、それはそれで怪しい。 Qiitaに調べた技術をメモ用に描いておくのもgood

  • TeraTail 信仰の技術Q&Aサイト 回答者の評価システムが存在するため、回答者のscoreに気を配れば安心して利用できる。

  • StackOverflow 世界最大の技術者質問サイト

あたりがオススメだと。 もっと詳しく聞きたい方は不定期開催の一燈勉強会に参加してみてはいかがでしょうか。また、一燈facebookでも技術者向けの情報を流していますので参考までにどうぞ。 www.facebook.com

■umenokoコンテンツ(ゆるキャラ大会)

UMENOKOさんが、ゆるキャラが欲しい!というノリと勢い(とゆるキャラへの情熱)で立ち上がった企画です。 記者日のゴミ拾いの際に、ゆるキャラTシャツを着て会社アピールをしたい!インパクトが欲しい!とのことで提案されたそうです。 ただいま社内でデザイン案を募集中。 美少女系ゆるキャラか、ガチ勢ゆるキャラか、さりとてシュール系が来るか? 果たしてどんなTシャツで我々はゴミ拾いをすることになるのか!?乞う、ご期待! (そしてブログ上でTシャツの結果発表はあるのか...!?)

■yutaコンテンツ(ダイバーシティ研修)

株式会社一燈は、セクシャルマイノリティの人材に関して、働き易い場所でありたい。 という考えの元、LGBTの人を受け入れるための社内教育です。

SESでも、会社によっては現場を選ぶ際にLGBTの調整をした上で、 働きやすい性別で現場に入ることが可能です。 一燈的には本人の要望があれば、調整できます。 そのための基本の4つの考え方が以下になります。

  • ジェンダーによる差別をしない
  • ジェンダーによる優遇をしない
  • フルスイングできる環境を作る
  • 権利はスキルで勝ち取る

そのためのサポートと環境づくりを全力でしますよ。というお話です。 会議は白熱し、服装や男性or女性トイレのどっちを使うのか、人それぞれの受け取り方。など、深く掘り下げれば掘り下げるほど様々な場合を想定し、サポートの難しさを感じました。 LGBTの度合いは個々人で全く違うので、入社希望の方がいらっしゃった際に本気で取り組む課題ですね。

今月のメイントピックはそんな感じでした。 ではまた来月もお楽しみに。

11月帰社日(社員旅行)

11月1日に中途社員として入社したMotsuです。

30代半ば、IT業界未経験、周りから見ればとーってもリスキーな選択をした私を受け入れてくれた株式会社一燈に感謝しながら、駆け出しエンジニアとして勉強をしながら、時にPCの前でフリーズしながらコーディングをしている毎日であります。

そんな私が入社1ヶ月目にして、11月23日に開催された社員旅行に参加させていただいたので、それについての詳細と私なりに感じたことを書きたいと思います。

今回行われた社員旅行は、当社では初めての試みとのことでしたが、幹事2人体制で綿密なスケジューリングがされておりました。

当日のスケジュールはこんな感じです。

当日のスケジュール

  • 9:30  本社集合
  • 10:00  本社出発 (バス移動中に中森CTOコンテンツ実施)
  • 12:00  箱根湯本到着 ~ 昼食
  • 13:00  yutaコンテンツ
  • 14:00  社長コンテンツ
  • 15:00  入浴
  • 16:00  箱根湯本出発
  • 18:00 本社到着
  • 18:30  解散

当日はバスを貸し切り、時間通りに本社を出発!

車内では、静かすぎず、騒がしすぎず、絶妙に自然と会話が弾む雰囲気。リリースされたばかりのポケ森を試す人、エンジニアトークに花を咲かしている人、アルフォートに舌鼓する人・・・何はともあれ皆、「自由」。私は少なからず、この皆の雰囲気に衝撃(良い意味でね)を受けた。なんだこの和やかさは・・・

私はほとんどの先輩の方々とこの日が初対面(chatworkでの自己紹介程度)だったが、先輩方が醸し出すその雰囲気は、多少なりとも初対面で若干身構えていた(一発芸とかやらされると思っていた)私には、とても心地よい雰囲気だった。

そんな雰囲気の中、道中では中森CTOコンテンツ。 ためになる情報の共有は以下の通り。

http://zozo.jp/zozosuit/

そして、予定前倒しで松谷社長コンテンツを実施。

日頃の自身の心のあり方を考えさせられる話。聞きたい人は是非、株式会社一燈へ。

海老名PAでの休憩を挟みつつ、なんだかんだで箱根湯本の旅館へ到着。

f:id:itto-inc:20171206155455j:plain 立派なお庭

f:id:itto-inc:20171206155451j:plain ​立派なお庭パート2

f:id:itto-inc:20171206155446j:plain

​立派な錦鯉

日頃は目にすることができないような風景にすでに満足感。

旅館へ到着後、昼食会場へ移動。

f:id:itto-inc:20171206155439j:plain ​御一行。

f:id:itto-inc:20171206155432j:plainインスタ映え?スポット

f:id:itto-inc:20171206155424j:plain ​昼食

​お酒も解禁で、皆で楽しく、美味しくいただきました。 f:id:itto-inc:20171206155418j:plain ※地酒3種とCTO

昼食後は場所を移動して油谷役員コンテンツ。 今回はこれを皆でやりました。

f:id:itto-inc:20171206155407j:plain​ このゲームで、皆の危機対応力?測定。

f:id:itto-inc:20171206155500j:plain ​結構盛り上がりました。

その後は、皆で温泉に入り、日頃の疲れを癒して帰ってこれました。 やっぱ温泉っていいな。

エンジニアのブログとしては、号外のような内容でしたが、こうやって社員が集まれる時間って必要だなーって思いました。

次回ブログ書くときは、もうちょっとエンジニアらしいことを書けるようになっていたい。。。

こんすけが斬る! 其の六

▼システムは巨大だ。それは例えばビルや高層マンション、ショッピングモール、多目的施設のように大きく、機能が複雑で、多くの人々が利用する。ただ利用するだけではなく、快適で、使いやすく、できれば目でも楽しめるものであればなおいいだろう。

▼建設現場では、多くの人間が動員される。現場で主な作業を担当する職人を始め、全体工程や品質を管理する施工管理、各設備を担当する設備会社、建設材料の調達先、それらを運ぶ運送業者……多くの人間、職種、専門家が出入りしている。

▼システムもそうだ。営業を始め、全体を管理するプロジェクトマネージャー、システムの設計者、実作業者のエンジニアとそのリーダー、その品質を管理する部署……企業によってどのような仕組みになっているかは様々だが(例えば、営業が全体の進行管理まで携わっていることもある)、技術も知識も経験も、性格から習慣まで違う人間が寄せ集まってシステムを作り上げる。

▼当然、そこには密な連携が必須となる。連携とは、情報のやりとりである。システムは各機能やインフラ、デザイン、すべてが並行して作業ができる。しかし、それらは独立しているわけではなく、相互は綿密な関係性が保たれなければならない。デザインも機能に合わせてボタンや遷移を考えなければならないし、複数の機能を利用して成り立つ機能もある。データの構造もそれに合わせて構築しなければならない。

▼にもかかわらず、システムはその巨大さが、全体の工程がを把握、数値化しづらいのだ。細々とした理由は述べないが、単純な理由としては、システムは三次元的であるが、私たちが覗き込むPCやスマホの画面は二次元的である、ということも関係しているが挙げられる。

▼高層ビルやマンションのように、視覚的に、触覚的に、その存在を把握できないというのはかなりアドバンテージのハンディキャップである。つまり、より専門的な知識と考え方の確立、技術、そして連携が必要だ。視覚を奪われた暗闇を打破するために生まれた蝋燭や行灯のように、我々は進化しなければならないのだ。

▼私はこの業界に入って、正解だと考えている。それは特に若いうちに培っておきたい経験が多く含まれる、良質であり、そして悪質でもある環境があるからだ。その最たる理由が、上記のアドバンテージのハンディキャップによるところが大きいだろう。ITは過酷である。水や食物が豊富な環境で生きることよりも、バッドランズや砂漠のように水も食料も限られている世界で生きる方がより工夫や知恵を生かさなければならない。

▼私はエンジニアではないので、あくまで管理者としての立場から、ITで培われる技術、必要となる技術をお伝えしよう。

筆者のプロフィール。
こんすけ

1989年(平成元年)、神奈川県生まれ。大学の建築学科を中退後、若干のフリーター生活を経てIT業界へ。IT営業を経たのち、もっと開発に近い現場での経験を求め、同じIT業界で転職。エンジニアではないが、営業経験を生かし、営業と開発の中間でディレクション業務をこなし、IT業界の抱える問題点について日夜研究中。好きなものは牛乳。

こんすけが斬る! 其の五

▼勘違いとは、意味を曲解したり、正しく理解できないことで起こるものだけではない。例えば、表裏のように、一度だけで同時には見ること、論じることが難しいことによって生じる場合がある。

▼直近の二回で、私はIT企業の価値を、品位を貶めるような情報を、私の経験に基づいて話してきた。あれらは間違いなくIT企業の実態であり、嘘偽りない真実だ。その真実を受けて、どう感じただろうか。わざわざそんな世界に入りたくないと思っただろうか。嫌な業界だと自然と眉間に皺を寄せただろうか。もっと別の業界を探そうと考えはしなかっただろうか。それらは正しい反応だ。けれど、もしそれだけの情報で本当にIT業界からそっぽを向いてしまう、踵を返して潔よく立ち去ろうとしてしまったら……してしまいそうになったら、それははっきり言えることだが、過ちだ。

▼物事が一枚岩でできていることなど、私は作り込まれた精巧なプロットの上で成り立つフィクションの世界でしかみたことがない。真犯人は誰かしらがいて、その誰かしらの動機によって事件が起こり、主人公が事件に深く関与していて、数多の組織や友人らと真相を解明し、時には罠にかけられながらも最後には真犯人へと行き着き、物語は収束する。だが、現実は収束などせず、無限に広がる問題と課題によって風呂敷を畳めず、むしろ拡散していくものだ。

▼物事には側面がある。表裏など単純なものだけでなく、もっと複雑で多面的構造を持ちうる。直近の二回で、IT企業のたった一面だけ見せた。それはマイナスの面だった。ただそれだけのことだ。もし、プラスの面を伝え、最後までIT業界はこんなにいいところだ、働きがいがある、きみの欲望を満たせる……などとあからさますぎても胡散臭いが、そのような切り口で話していたらどうだっただろうか。多くは、対極の感想が頭を過ぎることだろう。実際に、よいところはいくつもある。例をあげればキリがないが、ここでしかできない物作りができる。システムを作るということだ。それがこの業界のメインであり、根幹であり、そして意欲に繋がる部分だ。本当に、この業界でしかできないことが、当たり前だが、ここにはある。

▼多くのことはここでは語りきれず、次回以降に持ち越すこととするが、とにかく、収束なんてするはずのない、常に問題をかかえ、解決するたびに次の問題が起きて拡散していく現実では、いつだってあらゆる面を想定し、考え、情報を天秤にかけて見極めることが大切だ。転職も、そして社会で生き抜くには、必須といえるスキルだろう。そしてIT業界ではなおさら必要なスキルでもあるのだ。

筆者のプロフィール。
こんすけ

1989年(平成元年)、神奈川県生まれ。大学の建築学科を中退後、若干のフリーター生活を経てIT業界へ。IT営業を経たのち、もっと開発に近い現場での経験を求め、同じIT業界で転職。エンジニアではないが、営業経験を生かし、営業と開発の中間でディレクション業務をこなし、IT業界の抱える問題点について日夜研究中。好きなものは牛乳。