株式会社一燈 エンジニアブログ

秋葉原のWebエンジニア集団、株式会社 一燈のブログです。PHPやjavascriptに関するTipsや活動報告を掲載しています。

こんすけが斬る! 其の二

▼正直を話すと、私もITという業界にはマイナスのイメージを持っていた。たまたま友人にIT業界出身者がいたのだ。彼からの話を聞いていると、残業や休日出勤、トラブル、と聞きたくない言葉が山ほど出てくる。プラスな言葉を挙げるなら、お金が高い、ということだ。それでもIT業界に飛び込んだのは、前述のとおり、深く考えなかったからだ。

▼深く考えない、というのは間抜けに聞こえるかもしれない。言い訳のように聞こえるかもしれないが、私にとっての深く考えないというのは、少しだけ意味合いが違う。

▼百間は一見に如かず。この諺を聞いたことがない人間は少ないはずだ。仕事探しにおいて、あるいは新しいことを始めるとき、私はいつも深く考えない。考えても仕方がないからだ。私の職探しには、これが根底にある。

▼人が悪いと言った。人が良いと言った。テレビで評価が高かった。テレビで評価が低かった。多くの人が良いと拍手をした。多くの人が悪いとブーイングをした。それらは証拠ある一つの指標になるだろう。だが、絶対ではない。なんの絶対かというと、あなたの心が決める「絶対」だ。あなたがつまらないと言ったものが、すべて誰かにとってつまらないものだろうか? 友人が奨めてくれた映画がつまらなくて、愛想笑いを浮かべた経験はないだろうか。それと同じである。だからあくまでそれは情報収集で得られた一票一票でしかなく、ただの判断材料だ。この世は多数決では何も決まらない。私にとっての深く考えない、というのはそこにある。

▼わからないのであれば、肌で感じる。経験がないからこそ、経験してみればいい。深く考える。それはいいことだ。だが、だからこそ、前回の「イメージ格差」が起こりやすい。見事な情報収集によって得られてきたものは、本物だったか? あなたにとっての、本物だっただろうか。それらを知るには、飛び込むしかない。肌で経験するしかない。

▼あなたはいま、修道女の本を読んだ。知識を得た。彼女たちがどんな意味を持って、どのような生活をしているか知った。けれど、清貧に過ごし、豪華とは程遠い食事をしたあと、シスターは本当にその食事に満足を覚えているだろうか。中には、やはり窮屈に感じるシスターがいるかもしれない。中には自分に満足だと言い聞かせているシスターもいるかもしれない。いるだろうな。そういう想像はできる。しかし、それは想像止まりだと言わざるを得ない。

▼情報を集めるのは、正しいことだ。かくいう私も、必死に業界のことを知った。面接のため、入ってからのため……どちらにせよ、人づてに、あるいは本や雑誌やインターネットで知ったことを、まるですべて自分の実体験のように感じるのは、私の意見からすればよしたほうがいい。しかしこれもまた、判断材料の一票だということを理解してほしい。

▼さて、そうしてマイナスのイメージを植え付けられて、しかし経験してみない限りわからないと考えて飛び込んだIT業界は一体全体、私にとってどんな世界だったのか……正直に言おう。最悪な世界であった。 次回はどんなところが最悪だったのか、そこから話してみようと思う。

筆者のプロフィール。
こんすけ

1989年(平成元年)、神奈川県生まれ。大学の建築学科を中退後、若干のフリーター生活を経てIT業界へ。IT営業を経たのち、もっと開発に近い現場での経験を求め、同じIT業界で転職。エンジニアではないが、営業経験を生かし、営業と開発の中間でディレクション業務をこなし、IT業界の抱える問題点について日夜研究中。好きなものは牛乳。