株式会社一燈 エンジニアブログ

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こんすけが斬る! 其の三

▼大企業のブラックが表面化している昨今、誰もが企業の実態に敏感だ。長時間労働、執拗なパワハラやセクハラ、度を超えた叱責。それらは人の心を破壊し、心を破壊されたものは体を壊し、ついには生を蝕み摘むことさえある。そこに恐怖を覚え、逃げることはむしろ利口だ。

▼人の性格形成は生まれ持っての体質よりも育ってきた環境に依存する割合が大きい、という心理学的な研究結果がある。ただし、この学説は年々変わってきているが、二十年ほど前まで、個人の性格はほぼ百%環境に依存するというものだった。その中でも大きな割合をしめるものは、親、であるそうだ。

▼真実がどうであろうと、個人の周りを取り巻く環境というものが、環境という性格が、人に及ぼす影響は計り知れない。IT企業も、そうした環境に陥りやすい傾向にある業界の一つだ。

▼私が以前所属していたITでの平均的な一日の労働時間は、大体13時間ほどだった。始業は朝九時で、退社時間は二十二時や二十三時だ。営業職だったが、エンジニアも同様だ。夜遅くまで残り、場合によっては徹夜作業も発生した。

▼私が『最悪』だと記述したのは、長時間労働に対してではなかった。長時間労働になってしまう理由だ。その一つに、そうした労働時間を許容、もしくは強要する企業体質にあった。 定時は十八時であったが、しかし、その時間に帰ってもよい「雰囲気」はなかった。より正確にいうと、帰ったら仕事をしていない、と思わされる雰囲気だ。それがその企業の環境だった。

▼仕事なんて、増やそうと思えばほとんど無限に増やせるものだ。仕事を終わらせる。そんな言葉はなかった。今日やるべき仕事なんてとっくに終わっていて、むしろ明日の準備もできていた。だが、そんなものには意味や主張する力は宿っていなかった。帰らず、まだ仕事をしろ。そんな圧力があったのだ。そして、極め付けにはこんな言葉が耳をうつのだ。「みんな頑張ってるんだ」。

▼企業とは、社員にとって親のようなものだ。指導する上司も組織によってつくられる。私の職場では、それが「普通」だと教え込まれて育ち、それを下に受け継いでいった。この時間まで残っているだろう、だからこの仕事を投げても問題ない。この時間までかかるから、待っていてもらおう、など。そうした考えは、普通になってしまった感覚が、そのように人格が形成してしまった。もちろん、仕事における人格、ではあるはずだ。

▼前職を辞め、転職をしようと思った理由はそれだけではない。だが、この環境という企業体質が、私の動機であるのはいうまでもない。

筆者のプロフィール。
こんすけ

1989年(平成元年)、神奈川県生まれ。大学の建築学科を中退後、若干のフリーター生活を経てIT業界へ。IT営業を経たのち、もっと開発に近い現場での経験を求め、同じIT業界で転職。エンジニアではないが、営業経験を生かし、営業と開発の中間でディレクション業務をこなし、IT業界の抱える問題点について日夜研究中。好きなものは牛乳。