株式会社一燈 エンジニアブログ

秋葉原のWebエンジニア集団、株式会社 一燈のブログです。PHPやjavascriptに関するTipsや活動報告を掲載しています。

こんすけが斬る! 其の四

▼万年の人不足である。この業界は、圧倒的に人が足りていない。大企業ならいざ知らず、中小企業やベンチャー企業では深刻な悩みだ。どのくらい足りていないかというと、社員だけで一つのプロジェクトを回すことはほとんどない。その半分が外部の人材……いわゆる派遣や業務委託である場合さえある。小規模なプロジェクトならすべて外部の人材を起用することもざらだ。現に、私が獲得した小規模案件のすべては社員ではなく、外部のみで開発が行われた。

▼このように、深刻な技術者不足は業務委託契約(SES)を結んでいる外部の企業……いわゆる外部パートナー企業からの人材提供によって賄われている。一燈もその「外部パートナー」の一つで、私も、他の技術者たちも、足りない人材の穴埋めとして各現場へ派遣されている。だが、もちろんのことながら、アパレルのようにバイトを雇う感覚でアプリ開発や大規模システム開発はできない。

▼当たり外れがある。ひどい言い草だが、それが現実だ。職務経歴書や面接のみで人格や能力を限りなく正確に見極め、選択できるだろうか。それは不可能だ。可能であれば、多くの人間が路頭に迷うことになるだろう。それはSESの面接でも同じだ。技術者やプロジェクト管理者(PM)など、実際どの程度「使える」人材なのかわからない。そんな彼らに仕事を任せることはリスキーだ。それがわかっていても、それに頼らねばならず、同時に、頼ってもなお人は足りない。人も足りなければ、求める人格や能力も見合っていないのであれば、さらなる負担だ。一人一人の作業量が増え、定時には帰れず、夜遅くまで残る。それで止まればまだいい。実際には、多くの「手抜き」が同時並行して始まっている。過酷な労働環境で、自分のポテンシャルを百%発揮することや、情熱を維持できる人間はどれほどいるだろうか。製品の品質は落ち、回り回ってそれは顧客との窓口になる営業やPMに負担をかけ、最終的には訴訟など会社の重しとなる。果てにはこれ以上会社に負担をかけまいと、経営者はさらに社員や派遣に負担をかける。これが、IT企業でよく目立つ悪循環だ。

▼作業者であるエンジニアはもちろんのこと、それを管理するPMに負担がかかり、絶えず積み上げられる見積もり申請には目を通せず、期日がある営業は見積もりが上がるまでの時間、別の仕事をして待つことになる。そうしてみな連鎖的に帰れなくなってしまう。そうした日が続くほどに、企業体質に染み込み、徐々に社員へと浸透し、その性格を変えてしまうのだ。

筆者のプロフィール。
こんすけ

1989年(平成元年)、神奈川県生まれ。大学の建築学科を中退後、若干のフリーター生活を経てIT業界へ。IT営業を経たのち、もっと開発に近い現場での経験を求め、同じIT業界で転職。エンジニアではないが、営業経験を生かし、営業と開発の中間でディレクション業務をこなし、IT業界の抱える問題点について日夜研究中。好きなものは牛乳。